コスト削減と労働者

多くの企業はその利益を最大化するために、コストを抑えるということをする。

とりわけ赤字運営の企業であればその傾向は強まるだろう。

多くのインターネット企業は昨今の円安や燃料費の高騰に悩まされていると思う。

大概そのサービスはAWSやらGoogle CloudやらAzureやらの上にサービスが乗っかっており、その支払いはドルをベースとしているので円が対ドルで安くなればそのままその費用に反映される。僕が働き始めた2020年は110円程度だった1ドルは、いまや160円にも届くかという勢いである。

為替というものがいち企業で動かせるものではない以上、コストを抑えるとしたら以下のようなことが行われる。

  • より安いサービス(これは別の会社のサービスを利用することも、同じ会社のより格安なプランを利用するなども含む)に移行する。
  • いくらか高額なサービスの利用をやめる(あったらいいけどなくても努力でなんとかなるようなものから利用は停止するとか)。
  • 実装の中で無駄な費用を使っている箇所をより費用のかからない実装に修正する。

こんな感じだと思う。こういったコスト削減を行うことはサービスのレベルや開発者の体験をそれほど損なわなければエンジニアとしてもやりがいを感じやすい分野だと思う。

もっとも、コスト削減なんていらないくらいサービスが拡大し稼いでいくというのが希望なのかもしれないが理想と現実は違う。

 

さて、ここまではいいコスト削減だ(いい悪いの判断は私の独断だ)。

悪いコスト削減とはなんだろう。それは人の待遇や環境を悪くしていくことだ。

たいていの場合サービス業(ITは製造業みたいな顔をしたサービス業)でコストが高くなるのは人件費である。人件費を抑えるためには昇給を抑えたり手当を減らしたりなどのことが考えられる。このことによる会社に生じうるデメリットは採用市場における競争力の低下や労働者のモチベーションの低下だろうか。

私はあまりそれがなぜだかよくわからないが、中途採用が多い企業においては自分の年収を同僚に明かすことはなぜかあまり良い顔をされない。

企業は戦略的に採用する人の前職の収入を加味し、今現在やっていることよりも今までの経歴でのオファーする年収を決めることもあるのだろう。だから、今の企業で同じ職務をやっているのに前職の年収が低ければそれに応じて現職の収入が低いということがありうる。そういった構造によって発生しうる感情的な衝突を避けるために年収を明かさないのだろうか。だとしたらくだらないですね。私の年収は450万円です。

まあ収入はどこまで求めるかとか、収入は高くなくても得られる経験が貴重とかで本人が納得すればそれでいいと思う。ITエンジニアのキャリアのハックとして、短期間で経験を積んで転職をすると年収をあげられるというのがあるが、私はあまり健全では無いし、それは恩知らずだとも思っている。もっとも、今の年収は客観的にはITエンジニアとして高くは無いだろうし、主観的にもそう感じる。

 

さて、他に削れる費用はなんだろうか、オフィスの家賃とそれに使う電気代だろうか。

ご存知の通り東京の不動産価格は高い。世界屈指の大都市なのだから当たり前かもしれない。今どきであればオフィスの費用を削減するためにリモート勤務を奨励して社員数の割に小さなオフィスを借りるなどは労働者にとっても企業にとってもニーズが合えば双方に利益のあることだと思う。

そのような方策を取らないあるいは取れない企業の場合はオフィスでかかる費用を下げるためにはどうするのだろうか、この文章の最初の方で述べたのと同じ理由で、国内に資源の無い日本では円の価値が下がると燃料費が高騰し電気代は上がる。

 

オフィスでもっとも電気代を食うのはなんだろうか、多分空調なのだろう。

空調代を下げるために、法や通達に触れない範囲で空調を制限する。

夏であれば窓を開けて凌ぐなどを行うだろう。

 

このような環境で働くのは想像以上に辛い、窓を開けて気温を下げたとしても騒音や排気ガスは入ってくるし、気温が低くてもこの国の夏の湿度は殺人的でさえある。空調を削ることは厳しさを増していく近年の気候を考えると多くの不満を呼ぶだろう。

また、労働者としてはこのような空調でのコストカットは労働者の健康よりもコストカットのほうが重要なのだなというメッセージを感じざるを得ない。

 

というようなことを精神科医に話したら抗不安薬を渡された。これ飲むのか私は?

私が精神科に相談に行っているのは発達障害由来の眠気や注意散漫を緩和するためのアトモキセチンをもらうためであって、別に病んでも無いんだけどなーとは思う。

 

スタートアップ的な美徳として、苦楽をともにするだとか、ハードワークに耐えるなどがある。確かに何もないところから事業を始めた人々と違って、あとから入って来て空調に文句をつけるのは甘えなのかもしれない。

しかしながらととかくお金がないということ、お金を稼げないということは不要ないざこざや考え事を招くのだなと感じている。

私にはこういった働き方は向いていなかったのか?それとも空調をつけない会社にヘイトをため、積極的にキャリアをハックして収入を求める不義理な人間になるべきか?

そんなことを考えながら文章を打ったのでまとまりの無いものとなった。たぶんもう寝たほうがいい。