三体 (The Three-Body Problem) を読んだ

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なんだか最近本を読み切ることがなく、この備忘録の存在を忘れていた。

以前ヘミングウェイを読んでいてあまりにつまらなすぎたので三体の英語版を読み始めた。そしてそれをついに読み終わった。全体として、英語は割とわかりやすかった気はするのだが、科学的な知識不足ゆえにしばしばわからないところがあった。

まあ絶賛する紹介記事などはたくさんあるので僕が書くまでもないだろう。なので以下に雑に感想的なものを書く。

 

冒頭から文化大革命のシーンから始まるのは結構笑ってしまった。

物理学者がアインシュタイン相対性理論を教えるのは反革命的だという理由で紅衛兵につるし上げられて虐待され亡くなったりするのである。割と近現代中国の負の側面から始まっている。

聞くところによると、中国版はこの文化大革命のシーンは政治的にセンシティブだからなのか、中盤あたりにはさみこまれているらしい。

僕は割と世界史をちゃんと受験勉強でやったので、この辺は割と読みやすかった。ラストエンペラーのラストシーン(紅衛兵が「造反有理!革命無罪!と言いながら踊っている」)とかを思い出した。

完全に余談だが、よく飼っている犬猫がいたずらをしたときに「私は部屋をめちゃくちゃにしました」などというような文言を書いた札を首から下げさせたりしている画像がある。それのモチーフはこの文革の時期につるし上げられ虐待されているひとの姿だと思うのだが、それを意図しているかしていないかに拘わらずなんとなく悪趣味だなと思う。

 

この三体のストーリーは、基本的にWang Miaoというナノマテリアル技術者の周りで科学者が自殺するなどの不可解な出来事がおき、彼が巻き込まれていく形で進んでいく。中盤で、それらの事件は3つの太陽をもつ三体星人が地球に移住計画を持っていてひそかに侵攻は進んでいるからだということが明らかになる。でも主人公と宇宙人は全くかかわりあわない。実は三体星人とひそかに通信している人間の集団があり、主人公はそこの謎を追っていくことになる。このパートは結構理解しやすく面白かった。主人公のバディ的な存在のDa Shiという男がいて、その人がかなりかっこよくて発言も面白い。いいとことで表れて主人公を勇気づけてくれる。主人公にふさわしいのはむしろこっちなのではとさえ思った。

 

もちろん三体星人はどんな宇宙人なのかということも説明されていて、この三体星人が住む惑星には3つの太陽があり、そのせいで常に過酷な気候、環境にさらされている。めちゃくちゃ熱かったり、寒かったりするその環境に適応するために三体星人は体を脱水して乾燥させて仮死状態になりしのぐという機能がある。

そのほかにもそうした気候をいかに予測するために三体星人がどんな工夫をしてきたのかということが描かれている。たとえば一応コンピューター関連の仕事をやっているので大変面白かったパートには、人海戦術で人間を論理回路にして、それを集めてコンピューターを作るというものだ。よく論理回路の説明で行われる、AND、OR、XORなどを人の旗振りで再現するような例があるが、三体星ではそれを大量の人間で組み合わせて、巨大な人間コンピューターを作って惑星の運動を予測しようとしたらしい。このシーンの記述はかなり笑ってしまった。

 

最終的に三体星人の科学力は11次元とかよくわからないレベルに達し、智子(Sophon)という超テクノロジーの物体を作り上げるのだが、この辺の製造過程みたいな描写は正直難しめでよくわからなかった。まあ結果どういうものができるのかはわかるのでいいのだが....

 

そんな感じで結構ネタもあり、政治もあり、サスペンス、ホラー感もあり、とても面白かった。続編もあるのだが、これも英語で読んでいると疲れそうなので続編は日本語で読もうかなあ。

つぎはなんとなくプログラミング言語のGoの本を英語で読んでいる。だがこの手の本って熟読するものでもないので、どうするか悩みどころである...手を動かしながら読みたいものだ。