P.K.Dickの"Do Androids Dream Of Electric Sheep?"を読んだ

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フィリップKディックというアメリカの小説家の一番有名なSF小説である「アンドロイドは電気羊の夢をみるか?」という小説の原著をカッコつけてKindle で読みました。

 

近未来の放射能とかで荒廃した地球に逃げてきた植民用アンドロイド6体を、アンドロイド専門の賞金首ハンターである主人公のデッカードが追う的なストーリーです。

 

ハリソン・フォード主演でリドリースコットが監督した「ブレードランナー」の原作、原案として有名です。もっとも、監督は原作読んでないらしく、細かいところとかはかなり違います。と言っても世界観とか小物とか一部の登場人物の役割とか名前は共通している。

 

小説としては英語で150ページくらいなのでそんなには長くないが、SFなので独自用語とか、この作者の特徴であるよくわかんない言い回しとかが難解で幻惑させられて妙に読むのに時間がかかってしまった。この本の直前には24人のビリーミリガンの原著を呼んでいたが、こっちのほうが倍くらいの長さがあるのに読む時間は今回のほうがかかったくらい。

 

1ページ目から、作中で広く信仰されている宗教のイニシエーション的なもののために使う、人の感情を操るムードオルガンという器具がなんの説明もなく出てくるので初心者には読むのに骨が折れた。

 

原作と映画の相違点としては、主人公のデッカードに妻がいることとか、マーサー教という宗教が信仰されていることとか、タイトルになっている電気羊(作中世界は完全に自然が荒廃していて、生きた動物を買うのがその人のステータスを表す感じ、買えない人は電気羊みたいな偽動物を飼うけどそれは結構恥とされる世界)を主人公が飼っていることとか、そんな感じである。

 

主人公のデッカードは結構映画ではハードボイルド感があるが、この原作の方ではわりとうだつの上がらない感じで、1ページ目からムードオルガンの設定で奥さんと喧嘩するし、アンドロイドを追う理由も倒した賞金で電気羊じゃない本物のヤギを購入したいからだ。実際のところデッカードがアンドロイドを追うパートはそこまで重要でもなく、アンドロイドと人間の違いとは...今この現実とは....共感とは(設定上、アンドロイドには共感がない)...みたいな部分がこの小説の要部なんだと思う。だから読みづらいのだが。

 

読みながら「全然意味わからないんだけど」とSF好きの友人に連絡したら、「ディックは日本語で読んでも意味わからん」と言われたのでそういうもんなんだろう。

 

この小説が分けわかんなくなっている理由の一つとして、作者が薬物常習者であるということがあるかもしれない。アンフェタミン(覚醒剤)、LSDをやっていたらしい。

 

そういう意味では普通の凡人が普通の状態で読んで理解できるものではないのかもしれないと思って、ちょっとお酒を飲みつつ読もうとしてみたらお酒を飲むと英語を処理できず詰んでしまった。英語能力の低さに悲しみしかない。

 

余談だがこの小説のタイトル邦訳「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」はとてもおしゃれなので日本の創作物でよく「〇〇は△△の夢を見るか」というフォーマットでパロディ化されることがあるけど、本家がかっこいいだけで大抵はセンスっぽくなるだけでクソダサいからやめたほうがいいとしか思えない。まあどうでもいいんだが...。