衝動性と計画性の欠如

自分の性格を端的に表すとこの記事のタイトルになるだろう。

僕は一応発達障害というラベリングをここ最近されていて、ストラテラという薬を気休め程度にのんでいる。ストラテラというのは発達障害の入門的な薬であって、医者はだいたい初手にこれを出してくる。詳しい作用機序とかはしらないが、ノルアドレナリンドーパミンといった神経伝達物質の脳内での濃度を上げて、発達障害特有のうっかりしたところを軽減してくれるらしい。

飲み始めた当初は全く眠れなくなったり、動悸がしたりなど大変だったが最近ではそれも落ち着いている。飲み忘れると集中力が極端になくなったり眠くなったりする。果たしてこの状態がかつての自分だったのか、それともゆっくり抜いていけばもうちょっとマシな自分に戻るのかはわからない。

一応うっかりがなくなった気がしたり、日中の眠気が減った気がする、人の話が聞けないなどが減った気がするという気がするレベルの効果を実感しているので飲み続けている。

とはいえストラテラを飲んでももとの性格が劇的に変わるわけでもなく、よく発達障害の皆さんが体験する衝動性と計画性の欠如は残り続ける。というかこれに関しては薬を飲んでも飲まなくてもあまり変わった気がしない。反対に、過集中というものが弱くなった気がしていてそこは少しディスアドバンテージだ。過集中の過大評価かもしれないが、あれが起きているときの疲れなさはすごい。

 

さて、こういった衝動性と計画性のなさというものが自分の人生でどうやって作用してきたかというと、大概はあまり良い方向には動かない。

僕は大学の法学部を卒業している。そこは都内にある私立大学で、それなりに良い家の子女が通っていた。僕は都下の出身でそこまでいい家柄ではないが、とくに金銭的な苦労なく私立大学に通わせてもらえたということは恵まれていたと言える。話を計画性に戻すと、僕の同級生の多くは計画性が高く、就職活動をしていた。反面僕はしていなかった。それだけの話だがこういう人生の様々なイベントごとに計画性のなさが現れてくる。

そんな時期に僕は何をしていたかというと特に何もしていなかった。就職活動というものがとにかくきらいで「就活はダサい」と周囲に語りながらとくに何もしていなかった。何が嫌だったのかというと、とにかく就活という同じ目的のために全員が同じようなことをしている空気が苦手だったという逆張り精神である。かと言って別の道を選んで活動家や政治家になるとか起業家になるとかもなく、最終的には人に雇われているのが僕のとにかくダサいところである。あとは、いわゆる就活の成功者たちの語る成功体験のようなエピソードが嫌いだった。彼らは「こうしたから受かった」というようなエピソードを人前で話したがるしアドバイスしたがるものだが、結局の所判断基準が企業から公開されていない以上、彼らは求職者という立場である自分の限られた認識の上で類推したことしか話せない。しかし、成功したという経験に酔った人間はそういった事実に対する誠実さをなくしているので、とにかく根拠に乏しいことを大声で語るのである。それがたまらなく嫌だった。

さて、じゃあ就職活動に意味がないのかというとそんなことはないはずだ。僕は当時22,3歳の時点になっても自分が将来どのようにな状態になっていたいかという理想も希望も大してなかったし、適度に古本でも読んで暮らしていければそれでいいと考えていた。このベースとなる思考は今でもそこまで変わっていない。僕の頭の中の外の世界つまり普通に暮らしている社会においては計画とそれに対する振り返った評価の結果によって僕の時間や能力に金銭が払われている(もっとも、これは企業が人件費を抑えるための方便だと考えているし、その評価が正しいということを必ずしも意味しない)。それは他の人たちもそうであろう。とくに生活を維持するための手段は企業に勤める以外ない現状ではもっとも給与がもらえる場所に所属することが時間効率が良いと言える。もっとも、そんなことは多分当時もわかっていた。「新卒カード」といった言葉があり、それを無駄にすることは人生の損失だということもよく言われていた。今もそこにいまいち納得感はないが、それを有効に活用できた人々はどうやら輝かしい経歴や収入を手にしている。なぜそのことが理解できていたはずなのにやっていないのかといえば単純にそれはADHD的な脳の特性として長期的な利益のために短期的な我慢ができなかったり、衝動的に興味のあることをやっていたからだろう。あとは逆張り的な精神で人と同じパターンは取りたくないと思ったり、どうせ人は死ぬしな、戦争起きたら終わりだもんななどと思っていたりしたからだ。

じゃあなんでいまこんな文章を書いているかというと、単純にその結果として金がたりず、多くの望んだことができていないなと考えたという非常につまらないことである。

衝動性と計画性の欠如はもちろん企業で評価されないし、僕の給与は低い。そもそも多くの企業で給与評価に使われる目標設定などは、この特性のある人間に撮っては地獄に近い。そしてそのことは多少なりとも自尊心を失わせる。もっともこんな文章を書いておいてなんだが、就職活動をまともにしなかったことを後悔しているかというとそんなことはない。なぜなら多分できないしそれでもなおやりたくないからだ。

 

なんか適当に起業した会社が数十億円で売れないかな。

近況。2023の振り返り。

このブログをほとんど放置しているが、年末の所感くらいは書いておこうかなと思っている。

 

今年は割合文芸を読んだ年だったと思う。その一方で技術書は以前ほど読んでいない。ソフトウェアを作るプログラマーとしてはどうかと思うが、最低限は読んでいるのでまあ良いか。そういう時期もあるのだろう。

 

僕の今までの読書の傾向として、それなりに本は読むものの、ノンフィクションであったり論文を単行本化したような物が多かった気がする。今年は例外的に文芸を好んでいる。読んだ文芸で良かったのは以下かな。

罪と罰 ドストエフスキー

コインロッカーベイビーズ 村上龍

「ガラスの街」「幽霊たち」「鍵のかかった部屋」のニューヨーク三部作 ポール・オースター

 

罪と罰という言葉を引用する人は多いが、読んだことある人ってそこまで居ないよなと思ってブックオフでちょうど安かったので買ってみた。当時のロシアの風俗にあまり明るくない、かつちょっと読みにくいドストエフスキーの翻訳文(登場人物がそれぞれを呼ぶときと地の文で名前が異なったりする)だったので読むのは結構骨が折れた。それでも物語の最後は涙が出そうになった。結果的には出なかったが。

 

今ではゴールデンタイムで経営者とお話をしたりする番組のMCである村上龍だが、若い頃の生活はその著作からも読み取れるようにめちゃくちゃである。コインロッカーベイビーズはその危険性は狂気の集大成っぽい感じで、「限りなく透明に近いブルー」を読んだときはそこまで村上龍を好きではなかったが、この作品で好きになった。

 

ポール・オースターのニューヨーク三部作は3冊連続で読むことが価値のある作品なのだが、「鍵のかかった部屋」を読みおえたときはなんだか小躍りしたくなるような興奮に襲われた。原著もそのうち読もうかな。

 

ほかにもカミュとか村上春樹とか大江健三郎とか、なんだか色々読んだ。

異邦人と、ねじまき鳥クロニクルと、性的人間はこれらの次くらいに好きかな。

 

技術書

クリーンアーキテクチャをまた読んでいる。

この本は世間で割りと誤解を受けている。というかこの本を誤読した人が考えたアーキテクチャ例が流通していて、そこから更に劣化コピーされた言説がたくさんある(らしい)

会社にクリーンアーキテクチャ本を原著で読んでいるひとがいて、輪読会をしてもらった。

確かに、この本で出てくる同心円の図ベースでディレクトリ構造だけ真似してもしょうがないし「クリーンアーキテクチャ導入してみた」系の記事などもだいたいそんなかんじである。

というかそもそも、「クリーンアーキテクチャをやる(導入する)」みたいな表現自体がこの本の本意を読めてないのだろうなと思った。

 

Go言語100Tips

今年はバックエンドエンジニアとしてGo言語しか書いていないのでこの本を読んでいる。Goを書き始めたときに読めたら良かったなとは思うが、多分そのときに読んでも対して理解できなかったと思うので今読むといい本かも。

 

仕事

去年転職した会社に引き続き勤めている。toCの音声プラットフォームサービスを運営している会社のバックエンドエンジニアである。

今年はバックエンドのリプレイスプロジェクトがあり、半年くらいは主にそれをやっていた。無事リリースされて感動だ。しかし、このプロジェクトでは結構自分の技術力のなさというか、いままで「PHPでとにかく後先考えずにリリース優先だ!」みたいなことばかりしていたことが全く通じず実力不足を痛感した。やっぱりちゃんと作るという経験はなかなか得難いので、ここでものにしていきたい。

Go力も低いのでやっていかないとな。

 

AI

去年からかもしれないが、今年はAIの年だったというのは多くの人がうなずくところだろう。

GitHub Copilotは普段の会社での開発で利用しているが、便利過ぎてこれがない生活は考え難い。

あとはChatGPTか

あんまり信用しすぎるのも考えものだが、なんかつい困ったときとか行き詰まったときに会話してしまう。相手に気を使わなくてもいいから。ただ、エンターキーで会話が送信されてしまうのは日本語つかいには優しくないなとおもった。

あとはRTX3060でPCを組んで画像生成AIなどもやっている。これは楽しいし、自前で環境を用意するとWebサービスでは倫理的な制約で出すことのできない画像も生成できる。

一方でインターネットを見ると、絵を描く人が法律的な知識を身につけることなく反AI的な言説を撒き散らしていてちょっとげんなりする。パクリパクられ論争もそうだが、「著作権で保護されているのは具体的な表現であって、アイデアや作風といったものではない」ということを理解できないのに強い主張を展開する人は何を考えているのだろうか。

また、どうやらAIの発達によってホワイトカラーは仕事を失うらしい。プログラマーとか最たるものだとか。僕自身はプログラマーの仕事が奪われてもなんか別の仕事すればいいかなと未来を楽観視しているが、食うに困ったら意見は変わるかもしれない。

 

お金

前職から現職に転職し、90万円ほど年収が上がった。個人的には大満足だが、大学の同期と出会うとどうやら僕の収入は低めらしい。

アンチ新卒就職活動を気取り就活をろくにせずに適当に一社目を決めた僕と、それなりに名門の大学から年収やキャリアを最大化するためにやってきたひとを比べるのは失礼というものである。

 

ブックオフで本買ったり、近所をたのしく散歩したりする程度の余裕があれば収入はそんなになくても良いかなと考えていたのでそこまで収入にこだわりはなかったのだが、最近物欲が強く出てきた。車を買ったり海外旅行をしてみたくなったのだ。

あとは、最近肝心のブックオフが近所で立て続けに閉店しているのも悲しいところだ。

収入を上げるためにはいろいろな選択肢があるが、普通に副業してもしょうがないかなと思う。なにかいい方法が無いか思案中である。

 

運動

運動をしている。やはり運動不足はこのデスクワークの職業を続けていくためには戦っていかなければならないものである。

調子がいいときはこれくらい運動している。

ラソン

週2回くらい。最低5km

水泳

週1回くらい。30分くらい

筋トレ

週1回くらい。フリーウェイト中心に1時間くらい。

 

運動をするようになって公共施設の素晴らしさを感じている。区営プールは200円から400円くらいで入れるし、千駄ヶ谷東京体育館はフリーウェイトが充実していて700円である。

ハーフマラソンにもでた。結果はあまり良くなかったが楽しくはあった。来年はフルマラソンにでも出ようかな。

 

来年やりたいこと

数学

来年はよりやっていきたい。今年もある程度勉強していたのだが、やはり不十分なレベルでしかないし、数3に到達すらしていない。はやく数学を克服するのだ。

アルゴリズム

これも同様である。多少なりとも高度なソフトウェアを作りたいと思うのであればこれらは必須であるがこれが弱いのだ。

OS

むかしからOSという概念は好きだった。がとくに勉強していないので、OSをやっていきたい。

お金

お金!お金がほしい!車がほしい!海外旅行に行ってみたい!

というわけでお金を考えるよ来年は。

技術力

やっぱり足りないんだこれが、Goでバックエンドを作るということは来年はより注力します。データ指向アプリケーションデザインとかも読みたいしね。

 

 

 

近況。数学。

気づけば読んだ本の備忘録として書こうかとかおもっていたこのブログの存在自体を忘れていた。

 

この間も当然本を何冊かよんだりしているのだが、別に義務でもないブログに書く気もおきず放置していた。

最近読んだ技術書といえば以下のような感じだろうか

 

www.oreilly.co.jp

gihyo.jp

https://asciidwango.jp/post/176293765750/clean-architecture

asciidwango.jp

 

その他もろもろである。

あとは一巻だけ英語で読んだ三体の2巻以降はすべて日本語で読んだ。面白すぎて2日ほど普段の睡眠時間の半分くらいの時間で出勤するなどした。あれは人類皆読むべきだと思う。

あとはスティーブン・ピンカーとか岩波の宗教的経験の諸相上下巻も読んだ。これはまあ面白いのだがいずれにせようかつには話題にできない話題をあつかった本である。

 

このブログを書かないでいる間に転職もした。前職に強い不満があったわけではないが、2次受け以下受託開発特有のつらみみたいなものを感じたことや、なんか実際に動いているサービスのなかに入ってみたいと思ったのもあって、それなりに知っている人も多い会社に転職してみた。いままでは受託でPHP, PythonなどをWebアプリケーションフレームワークをつかっていたわけだが、実際に稼働している自社のサービスというのはまた違うなあという感じである。

新しい会社は意識も高い人が多く、長く働けそうである。

 

 

あとは数学の勉強もしている。やはり技術書、人文書に限らずいろいろな書籍を読むうちに、どうしても数式や記号というものを読み飛ばすくせが良くないということがわかってきた。数学が苦手すぎて私立文系に進んだつけを払わされている気もする。

流石に高校で履修する分くらいは頑張ってみようと

「長岡先生の授業が聞ける高校数学の教科書数学」

honto.jp

を購入して毎日通勤電車とかで聞きながら眺めている。

この教科書は著者の解説音声つきなのだが、これが本当にわかりやすく感じる。ときおり歴史なども解説しながら、暗記じゃなくて考えて理解してほしいというスタンスを大事にしているであろう解説をしてくれてとても良い。

そろそろ演習も必要であろうし、標準問題精講なども購入して勉強を進めていく予定である。

 

ところで、高校生の時は本当に数学が一番苦手で、あらゆる時間で全く頭に入ってこず数学が関わる分野から高3の春からいままでの7年ほど完全に離れていた。ここに来て改めて学習をしていくとかつてより理解しやすいのはなぜだろう。

 

話はそれるが、実は最近心療内科にいったところ、発達障害っぽいとのことでストラテラを服用している。この薬はドーパミンとか増やしてくれる薬で、不注意を減らしてくれる。

 

数学が本当に嫌いだった理由の一つに、もちろん勉強不足が大きいのだが、解く問題ほとんど全てで不注意が発生するので正解できたことがほとんどないことがある。

たしかにこの薬をのんで数学の問題を解くと不注意は減っているきがするし、不注意が発生したときのイライラ感もいくらかマシになっている気がする。

 

かつてより数学が理解しやすいのは、教材の良さか、モチベーションか、僕の成熟か、それともストラテラか。答えはわからない。

 

 

Writing an Interpreter in Goを読んだ

https://www.amazon.co.jp/Writing-Interpreter-English-Thorsten-Ball-ebook/dp/B01N2T1VD2

 

タイトル通り、インタープリターをGoで作ろうというものである。

最近ちょっとGo言語に興味がありやっている。

Web業界ではもはや割とメジャーな言語になっている言語で、ちょっとだけJsonを返すWebAPIくらいはつくったことがあるが、他の人が書いたコードを見様見真似でいじっているだけでそれほどできるわけではない。もっとも、Go言語のコンセプトとしてそこまで難しい言語ではないので、表層だけ理解して使うのはできそうだ。

 

以前からプログラミング言語はどのように文を理解しているのかは漠然とした興味があった。しかし、私立文系学部卒なのでネットで読める解説などは正直内容を重く感じていた。この本は割と平易に書かれているように思える。英語もわかりやすい。

まず、文章をプログラミング言語が理解するために、Lexarというものをつかって文の要素をtokenに変換する。日本語で言うと字句解析器というらしい。たとえば以下のような表現は

let five = 5;

 

LET : "let"

IDENT : "five"

ASSIGN : "="

INT :"5"

SEMICOLON: ";"

EOF: ""

 

というように分解される。

そしてこのように解析され分類された字句から意味を読み取るためにParser(日本語で言うと構文解析器)を通し抽象構文木に変換する。

構文解析も、いくつかの方式があり本書ではPratt Parserというものを採用している。

というような感じで解説とともにソースコードが提示されプログラミング言語が完成していく。

 

本書を読むと意外とプログラミング言語って作れそうだなと思うが、現実のプログラミング言語はこれ以上に複雑な理論を使っているのだろうなと思った。

 

最近はこれを写経してGoとインタープリターの勉強の両方をやっている。最も、インタープリターかけても僕の仕事の領域とはそれほど関係ないのだが。

 

さて、本書を僕は原著の英語で読んだが、このような未知分野の勉強を母語でやらないのはなんか理解能力にだいぶ差が出る気もする。英語だと読む速度もとても落ちるので悩みどころである。最近はトルーマン・カポーティーの冷血を読んでいる。文学は難しいのでいつ読み終われるだろうか...

 

プログラマの数学 を読んだ

www.amazon.co.jp

 

一応プログラマという職業の末席を汚させてもらっている。その一方で、完全に私立文系であるがため、数学的な素養のなさ、数字からの逃げ癖などを病としてもってしまっている。なのでこの本を買ってみた。著者はおなじみ結城浩氏である。

 

内容的には高校の数学でなんとなくこの話聞いたことあるなあというようなものが多かった。まあ最も、数学は引き算でつまずいているので高校数学もまともに覚えてはいないのだが...。この書籍は本当に僕のような人間の理解力に配慮してくれているのだなあという点を強く感じた。しかしまあちゃんと理解するためには問題をちゃんと解くなり、高校数学復習するなりをしないといけないのだなと強く感じた。

内容的には計算量のあたりが一番プログラマ的にはなじみ深いかなあと思った。割と計算量を気にせず遅いプログラムを書いてしまうことが多いので...。

三体 (The Three-Body Problem) を読んだ

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なんだか最近本を読み切ることがなく、この備忘録の存在を忘れていた。

以前ヘミングウェイを読んでいてあまりにつまらなすぎたので三体の英語版を読み始めた。そしてそれをついに読み終わった。全体として、英語は割とわかりやすかった気はするのだが、科学的な知識不足ゆえにしばしばわからないところがあった。

まあ絶賛する紹介記事などはたくさんあるので僕が書くまでもないだろう。なので以下に雑に感想的なものを書く。

 

冒頭から文化大革命のシーンから始まるのは結構笑ってしまった。

物理学者がアインシュタイン相対性理論を教えるのは反革命的だという理由で紅衛兵につるし上げられて虐待され亡くなったりするのである。割と近現代中国の負の側面から始まっている。

聞くところによると、中国版はこの文化大革命のシーンは政治的にセンシティブだからなのか、中盤あたりにはさみこまれているらしい。

僕は割と世界史をちゃんと受験勉強でやったので、この辺は割と読みやすかった。ラストエンペラーのラストシーン(紅衛兵が「造反有理!革命無罪!と言いながら踊っている」)とかを思い出した。

完全に余談だが、よく飼っている犬猫がいたずらをしたときに「私は部屋をめちゃくちゃにしました」などというような文言を書いた札を首から下げさせたりしている画像がある。それのモチーフはこの文革の時期につるし上げられ虐待されているひとの姿だと思うのだが、それを意図しているかしていないかに拘わらずなんとなく悪趣味だなと思う。

 

この三体のストーリーは、基本的にWang Miaoというナノマテリアル技術者の周りで科学者が自殺するなどの不可解な出来事がおき、彼が巻き込まれていく形で進んでいく。中盤で、それらの事件は3つの太陽をもつ三体星人が地球に移住計画を持っていてひそかに侵攻は進んでいるからだということが明らかになる。でも主人公と宇宙人は全くかかわりあわない。実は三体星人とひそかに通信している人間の集団があり、主人公はそこの謎を追っていくことになる。このパートは結構理解しやすく面白かった。主人公のバディ的な存在のDa Shiという男がいて、その人がかなりかっこよくて発言も面白い。いいとことで表れて主人公を勇気づけてくれる。主人公にふさわしいのはむしろこっちなのではとさえ思った。

 

もちろん三体星人はどんな宇宙人なのかということも説明されていて、この三体星人が住む惑星には3つの太陽があり、そのせいで常に過酷な気候、環境にさらされている。めちゃくちゃ熱かったり、寒かったりするその環境に適応するために三体星人は体を脱水して乾燥させて仮死状態になりしのぐという機能がある。

そのほかにもそうした気候をいかに予測するために三体星人がどんな工夫をしてきたのかということが描かれている。たとえば一応コンピューター関連の仕事をやっているので大変面白かったパートには、人海戦術で人間を論理回路にして、それを集めてコンピューターを作るというものだ。よく論理回路の説明で行われる、AND、OR、XORなどを人の旗振りで再現するような例があるが、三体星ではそれを大量の人間で組み合わせて、巨大な人間コンピューターを作って惑星の運動を予測しようとしたらしい。このシーンの記述はかなり笑ってしまった。

 

最終的に三体星人の科学力は11次元とかよくわからないレベルに達し、智子(Sophon)という超テクノロジーの物体を作り上げるのだが、この辺の製造過程みたいな描写は正直難しめでよくわからなかった。まあ結果どういうものができるのかはわかるのでいいのだが....

 

そんな感じで結構ネタもあり、政治もあり、サスペンス、ホラー感もあり、とても面白かった。続編もあるのだが、これも英語で読んでいると疲れそうなので続編は日本語で読もうかなあ。

つぎはなんとなくプログラミング言語のGoの本を英語で読んでいる。だがこの手の本って熟読するものでもないので、どうするか悩みどころである...手を動かしながら読みたいものだ。

二回目のワクチン接種を受けた

前回こんな感じで第1回目のワクチン接種を受け、その5週間にワクチンの2回目接種を受けてきた。

mend0.hatenablog.com

 

前回のワクチン接種から世間で流行っているコロナウイルスは更に強力なデルタ株に置き換わろうとしている。

最強ワクチンであるファイザーモデルナのmRNAワクチンを2回接種していてもかかってしまう場合もあるらしく、イスラエルなどは3回目接種の治験を行っているようだ。

ちなみにデルタ株に対してはモデルナのほうがちょっと強いとか。

 

更には、緊急事態宣言が発令されていたとしてももはや国民は言うことを聞かないので、感染状況は非常に悪化している。

 

とはいえ依然としてコロナウイルスに対する最強の武器であることに変わりはないので、2回目接種を受けてきた。

 

自衛隊大規模接種会場のオペレーションはあいかわらず素晴らしく、今回は入場10分で接種まで終わってしまった。その上ワクチンを接種してくれた方の腕前が素晴らしく、刺されたことに全く気づかないほどだった。直後は本当にワクチンを打ってくれたのか不安になったほどだ。

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帰りはワクチン接種祝いということで寿司を食べて帰宅した。

 

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帰りしなに副反応に備えてポカリや解熱鎮痛剤をドラッグストアで購入した。ワクチン接種後の副反応対策としての解熱鎮痛剤には市販のものだったらほとんど何を使ってもよいのだが、どこのドラッグストアに行ってもアセトアミノフェンの単剤は売り切れていた。

まあ他の解熱鎮痛剤に比べて副作用も少ないのでみんながこれを求める気持ちはわからなくもない。僕も一応アセトアミノフェンエテンザミドが混ざっているやつを買ってのんだが、正直何飲んでも変わらんだろとは思った。

 

その後は自宅に帰り、副反応に備えて適度にポカリとか麦茶をのみながら一日を送っていた。

前回の接種の際に副反応らしきものがろくになかったので今回も大したことは無いだろうとちょっと舐めながら過ごしていたが本格的に副反応が出始めたのは就寝後(ワクチン接種はAM11:30)だった。

 

多分AM3:00頃、寒気で目が覚め、自分の体温が高いのを自覚する。

寒気がひどいので秋冬用の布団を取り出しくるまる。

なんとか寝れるがあまり眠りは深くない。

朝10時頃まで何もする気が起きず布団にくるまりネットサーフィン。

少し楽になってきたので体温を測ると38℃代だったので寒気を感じていた時間は39℃付近まで行ってたんだろうなと思う。

熱による関節痛を感じる。

その後は頭痛と発熱を抑えるために解熱鎮痛剤を飲んでベッドで無為に一日を過ごす。

 

こんな感じだった。更に翌日は平熱まで体温は下がり、少し頭痛が残る程度であった。

面白いのは本当に副反応は熱と頭痛くらいで、食欲は普通にあってむしろお腹が減るということである。

 

確かに副反応は多少の辛さはあったが、耐えられないほどではなくむしろ若干の非日常感を楽しんでしまった。

何より免疫が頑張ってくれるのが頼もしかったし、これで今の感染状況にもある程度の安心を持って生活ができるというのは非常にありがたい。

もっとも、依然として在宅勤務とマスク生活は続けるのだが...。

 

果たして人類が本当にコロナに打ち勝つことはできるのだろうか。

とりあえずのところは多くの人がワクチンを接種できるようになるようになることをいのるのみだ。